お酒の新たなトレンドとして”ハードセルツァー”というものが登場しました。
日本ではまだ聞き慣れない名前ですが、海外では既に健康志向を意識したお酒として人気を博しているようです。
この記事では、話題のハードセルツァーとは一体何なのかについて詳しくご紹介します。
セルツァーとは
本来のセルツァーは、ドイツのゼルタース(selters)という町の特産品である炭酸ミネラルウォーターのことを指します。
ゼルタースの水源は、772年に初めて記録されており、16世紀頃にはセルタースワッサーの名で世界に広がります。
当時、肺や胃の病気を和らげる水だと医師に認められたこともあり、町の重要な財源として輸出事業が盛んになります。
その後、いくつかの輸出会社が水源を所有し、現在はゼルタースの町が水源の所有者となっています。
ゼルタース産の炭酸水は、1950年代にアメリカで人気となり、次第に炭酸水やソーダ水の同義語としてセルツァーが用いられるようになりました。
※絆創膏の同義語としてバンドエイドやサビオ、カットバンなどの呼び方が定着したのと同じようなものです。
また、”ソフト”ドリンクの対義語として、”ハード”セルツァーはアルコール入りの炭酸水を意味します。
・ハードセルツァーは、アルコール入りの炭酸水。
人気の理由
なぜいま、このハードセルツァーが人気となっているのでしょうか?
味わい
セルツァーは、砂糖などで味付けをしないプレーンな炭酸水を指します。
ハードセルツァーの製品では、そこにフルーツの香り付けなどをしているものが多いです。
そのため、味わいはドライで甘くなく、食事に合わせやすい。
カクテルでいうところの、ジンリッキーやウォッカリッキーに近い味わいです。
お酒の中では、ビールやハイボールの代用品となるような、1杯目から飲みやすい食中酒と言えます。
若い世代は、旧来の伝統にとらわない新しい飲酒のスタイルとして、甘くなくスッキリとした味わいのハードセルツァーを求めているのかもしれません。
健康志向
セルツァーは、砂糖をあまり使用しないため糖質やカロリーを大幅に抑えることができるのが魅力です。
一般的なビールと違い、プリン体も含まれません。
また、ウイスキーやワインに比べると、アルコール度数も低く設定されているため、翌日に酔いを残したくない時にも気軽に飲めるようになっています。
総じてみると、太りにくく二日酔いになりにくいのが、ハードセルツァーの最大の特徴です。
お酒を軽く飲みたいけれども、健康への影響が気になるという層にとくに刺さる訴求力を持っています。
・低糖質、低カロリーで太りにくい。
・低アルコールのため、体にも優しい。
日本版ハードセルツァー ”ウォーターサワー”
日本製で最初にハードセルツァーとして売り出されたアルコール飲料が、サッポロのウォーターサワーです。
「甘くない。強くない。今までにない。」「まるで炭酸水なお酒」をキャッチコピーに、日本生まれのハードセルツァーとして2021年8月24日から販売されています。
レモンとオレンジの2種類があり、どちらもアルコール度数は3%と低めに設定されている。
無糖で、カロリーは100mlあたり19kcal。これは一般的なビールの半分以下のカロリーとなっています。(サッポロビール製品と比較)
実際に飲んでみましたが、これまでの酎ハイに比べると味が薄く、まさに炭酸水にレモン(オレンジ)を絞ったようなシンプルな味わい。飲んだ感覚でいうと、ZIMAに似ているかもしれない。
ウォーターサワー単体だと少し淡白なので、揚げ物や肉料理などしっかりとした食事と合わせたい。
日常的に炭酸水をそのまま飲用している人には、当然すんなり受け入れられるし、
もしくはジンリッキーや、辛口のカクテルが好きな人には好まれる味だと思う。
(各商品の詳細はリンク↓から)
ハードセルツァー もうひとつの解釈
ハードセルツァーの意味には、もう一つの解釈があるようです。
一般的な酎ハイは、焼酎やウォッカをベースにして果汁や炭酸を加えて作るのに対して、
ハードセルツァーは、サトウキビを原料にアルコール発酵させることでつくるアルコール入り炭酸水だというものです。
これは、麦と水をアルコール発酵させてつくるビールや、リンゴの果汁をアルコール発酵させてつくるシードルの延長線上にあるものとして解釈されています。
日本版ハードセルツァーとして販売されたウォーターサワーは、ウォッカを使用しているため、
あくまでアルコール入りのプレーンな炭酸水をイメージしたものと捉えられます。
今後どちらの解釈が主流になっていくかにも注目です。
ハードセルツァーの今後は•••?
サッポロに次いで、コカコーラ社が日本でのハードセルツァーの販売を発表した。
ブランド名は「トポチコ ハードセルツァー」。
9月20日より、関西エリア限定で販売されるそうだ。
トポチコはメキシコで100年以上続くスパークリングウォーターのブランド。
日本では「アサイーグレープ」「タンジ―レモンライム」「パイナップルツイスト」の3種類が販売されるという。
参考(PR TIMES):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000603.000001735.html
今後、大手のサントリーやアサヒも、ハードセルツァー市場に参入してくるのは間違いない。
フレーバーもグローバルな素材を使用した、多種多様なラインナップへとなっていきそうだ。
また、他の甘い酎ハイに比べて、炭酸水の存在感が強いため、
水質にこだわった地方の製品がクラフトセルツァーとして名乗りを挙げるかもしれない。
もし、本来の低アルコールで健康志向の路線から逸脱し、ストロング版のハードセルツァーなんかが開発されたらお笑いだ。
まとめ
今回は、いま注目されているハードセルツァーについてご紹介しました。
若者のお酒離れが叫ばれる中、健康志向で飲みやすいハードセルツァーは、今後ますます目が離せない存在となっていくでしょう。
まだ市場が確立されていないため、どのメーカーが中心となるのか?どのようなフレーバーが人気となるのか?
長引くコロナ禍で飲食店への需要を伸ばせない中、ドリンクメーカーにとっては経済的な面でも台風の目になるかもしれません。
【参考サイト】
ゼルタース タウヌス ホームページ:https://www.selters-taunus.de/selters-taunus-im-ueberblick/geschichte
トポチコ HP:https://www.topochico.jp/
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